近年における低価格競争は家電やパソコンだけでなく、旅行業界においても低価格競争となっています。
年中9800円という一律料金で宿泊できるホテルなどのチェーン化が進み、経営不振にあえぐ老舗の旅館やホテルが大手ホテルグループに身売りするケースが多くなっています。
低価格の旅館やホテルは従業員の数を制限しあらゆるところでコストを下げて、宿泊料金を下げています。
その例として、宿泊客が外出するときの履物で、低価格のホテルは外出専用の履物が無いかあってもゴム製のサンダルとなっています。
京都などの高級老舗旅館では、さすがにゴムのサンダルはありえません。
大抵は下駄または雪駄が一般的となっています。
昔は高級旅館でなくても一般的な旅館やホテルでも外出専用の履物は雪駄や草履、下駄を用意していました。
京都の夏は暑く、少しでも涼しくするため水打ちを頻繁に行います。
宿泊客が外出するとき、水打ちで濡れた路面で滑って転んでしまわないよう、滑りにくく通気性のよい雪駄を履かせているのです。
確かに、祭りのとき水を打つことがあり、神輿や山車を引く衆が祭り雪駄を履いているのも、滑りにくいためなのです。
雪駄を用意している旅館は、京都だけでなく、北陸や東北などの雪の多い地域の旅館でも、足を滑らすことの無いよう雪駄が用意されています。
「まるたけえびすに・・雪駄ちゃらちゃら魚の棚」これはご存じの人も多いかと思いますが、京都の手毬歌です。
京都のまちには雪駄は欠かせない履物となっており、京都の旅館やホテルに宿泊かる客が外出するときに、履く履物として雪駄が広く使われています。
旅館などの外出用の履物としては、下駄や草履が一般的ですが、京都の旅館やホテルでは雪駄となっています。
京都で雪駄が用いられているのは、風情を活かすためでもありますが、近年京都以外の旅館やホテルなどでも雪駄を履かせるところが多くなっています。
近年、宿泊客の減少により厳しいコスト削減が課題となっています。特に消耗品については丈夫で長持ちするものが必須となっています。
雪駄はコスト的には草履や下駄よりも高いのですが、雪駄は丈夫で長持ちするうえに、雨などの湿気にも強くカビにくい特性があるのです。
草履や下駄は、コスト的には安いのですが、カビ易く朽ちるのが早いため直ぐに新しいものを新調しなくてはいけません。
旅館やホテルとしては、雪駄は丈夫で長持ちするので買い替えるサイクルが長くて済みますので、消耗品の費用を抑えることができるのです。
しかも、客からは珍しがられ、しかも風情があるので喜ばれるものとなります。
国内需要が冷え込む中、旅館やホテルなどの旅行業界も例外ではなく、非常に厳しい状況となっています。
しかし、ここにきて海外からの旅行客が増えており、特に中国などの新興国からの宿泊客が急増しています。
旅行業界にとって海外からの宿泊客は天の恵みで、さらなる需要が見込めるものとして期待されています。
旅館やホテルにとって、海外からの宿泊客をもてなすうえで重要となるのが、日本の文化を味わってもらうことになります。
そこで、旅館やホテルなどでは着物や浴衣を用意いるとともに、雪駄や草履などの履物も専用に用意するようになっています。
外国人にとって、浴衣や着物姿に草履や雪駄はとても新鮮で、日本の伝統文化を理解するうえでもいい機会となっています。
外国人観光客の中には、土産として草履や雪駄を求めることが増えており、祭りに関係する商品ということもあり、祭り雪駄は人気の土産商品となっています。
現在、多くの旅館やホテルでは雪駄を用意していますが、四季や天候に合わせた雪駄を用意して宿泊客をもてなしています。
通常雪駄は、草履と同様に足を覆うものは何もありませんが、雨や雪が多い地域の旅館やホテルでは、爪先部分を覆った雪駄が用意されていたり、一定のリズムで歩くと音楽の音色を奏でる雪駄を用意するところもあるようです。